これは仕組まれた物足りなさなのか
あけましておめでとうございます。
今年も読書感想と趣味と、ブログのタイトルになっている件についても 書いていければと思います。
今回紹介するのはこちら。
営業もできない・広告も打てない・PRもできない「殺し」をどうやって売るか。女子大生起業家の奮闘が描かれています。
TV・雑誌等メディアで話題沸騰とのことで読んでみましたが、今回は厳しめの評価となることをご容赦ください。
マーケティング本として
マーケティングに言及している部分は、全体の10ページ程度。おまけページとしてマーケティング手法がまとめられているが、そのページさえあればOK。400ページにわたる小説の部分はほとんど不要。決して筆者の「7つのマーケティング・クリエーション」を否定するつもりはなく、考え方そのものは知識として頭に入れる価値はあると思う。
ほかに気になった部分としては「安心の需要」 ぐらいかな。
小説として
世界観は、伊坂幸太郎を読んで小説書いてみましたってレベル。権力者と表には出てこない闇、みたいなありがちな構造。
ストーリーも、なぜ主人公は「世界一の殺しの会社」を作りたかったのか、といった核心部分も「ふーん」といった感じ。これといった見どころももなく話が進む。
ついでに、文章が読みづらく、キャラクターも魅力的とは程遠い。
小説としては、これまで読んできた中でも、かなり残念な部類に入ります。
総評
「売りづらいものをどう売るか」といったことを期待してこの本を読んでも、その回答は得られません。
「なぜ殺し屋をしようとおもったのか」といった小説的な面を期待しても、その楽しさは得られません。
この本を各種メディアで話題にさせた、筆者のマーケティング力が素晴らしいものであることは間違いないでしょう。
ストーリー内でもありましたが、コンテンツが不十分なまま、いびつなスパイラルの上に乗ったブランドは、いずれ崩壊します。しかし、崩壊は時として最大のチャンスでもあります。そこまで見越したうえで、本書を出版されているのであれば、ただただ脱帽、お見事というほかありません。